算数の文章題のあれこれ

基本的な算数の考え方を紹介しています。 中学受験だけでなく、公務員試験やSPI対策などにも役に立つ内容です。

2014年06月

食塩水問題【水を加える】

【問】
10%の食塩水300gに水を加えて8%にしたい。
このとき水は何g加えればよいか。

【解】
求めるものは加える水の量。
公式にそのままあてはめることはできない。

この問題のポイントは、水が増えるだけで
塩の量は変わらないということ。

まず塩の量を求める。
 300×0.1=30g

つまり水を加えた後できたのは
塩の量が30gで濃さが8%の食塩水。
これより食塩水の量をもとめると

30÷0.08=375g

もともと300gだったので
 375-300=75g

よって加えた水の量は75gだと求められる。

 




食塩水問題【蒸発】

【問】
10%の食塩水が150gあります。水を50g蒸発させると
濃さは何%になりますか。

【解】
蒸発という言葉に惑わされず
一番始めに考えることは
何を求めるのかということ。

この問題は濃さを聞かれているので
 濃さ=塩÷食塩水の量
この式を使いたい。

ただ、塩の量が直接問題文の中にでてないので
計算して求めなくてはならない。

塩の量は
 150×0.1=15g ←塩=食塩水の量×濃さ

蒸発させるとは水の量が減るだけなので
50g蒸発させたということは
 150-50=100g
食塩水の量が100gになったということ。

蒸発させても塩の量は変わらないので
 15÷100=0.15=15%

塩の量が変わらないことが
蒸発させる問題のポイントといえる。

食塩水問題【公式】

食塩水は日常生活で全く馴染みがなく、
その上濃度などと言われてもピンと来なくて当たり前。

食塩水の問題の面倒なところは
このあたりに起因しているのでは
などと思うわけです。

そもそも濃度とは割合の問題で
食塩水に関して言えば
水の中に含まれている塩の割合を表したもの。

例えば10%の食塩水150gとは
150gの中の10%が塩です
というだけの話。

だから塩の量を求めるのは
  食塩水×濃度=塩  

教科書にはこのほかに
濃度と食塩水の量を求める公式が載せたあったりするが
一つだけ覚えておき
あとはそれを変形した方が楽。

塩の量を求める問題が多いため
上記の式を覚えることが実戦的だと
個人的には思います。 

食塩水問題【基本】

【問】
①5%の食塩水120gに含まれている食塩は何gですか
②8%の食塩水150gに含まれている食塩は何gですか
③300gの食塩水に18gの食塩がとけているとき、食塩水の濃さは何%ですか 
④120gの水に30gの食塩を溶かすと何%の食塩水になりますか
⑤20gの食塩を水にとかして10%の食塩水を作りました。食塩水は何gできましたか
⑥8%の食塩水に18gの食塩がとけています。食塩水は何gありますか。

【解】
①食塩の量を求めたいので
 120×0.05=6g ←塩=食塩水×濃度
*5%を小数にもどして計算すること。
 分数になおして計算しても答えは同じなので、計算しやすい方を選べばよい。

②食塩の量を求めたいので
 150×0.08=12g

③濃度を求めたいので
 18÷300=0.06 ←濃度=塩÷食塩水の量
 0.06=6%
*小数を%になおす

④濃度を求めたいので
 30÷120=0.25=25%
という計算をしてはいけない。

濃度は塩÷食塩水の量で求めるが
120gは水の量。
食塩水の量は水と食塩の合計なので ←『食塩水=水+食塩』
 120+30=150g ←食塩水の量
なので求める濃度は
 30÷150=0.2=20% 
*まず食塩水の量を求めさせてから濃さを求めるという問題。
 このような問題があることを念頭に置きながら
 問題文を読めばひっかからないはず。ひっかけ問題の典型例。

⑤食塩水の量を求めたいので
 20÷0.1=200g ←食塩水の量=食塩÷濃度
*10%を0.01として計算しないように注意。

⑥食塩水の量を求めたいので
 18÷0.08=225g

全ての文章問題に当てはまるが
何を求めるのかを始めに整理してから
解き始めることが全ての基本。

食塩水の問題は
塩、食塩水、濃度の3つしか使わない。
それ以外の言葉が出てきたときに
どうやってこれら3つにつなげるか考えれば
解法への糸口はつかめるはず。

 

過不足算【速さ】

【問】
学校に行くのに
分速70mで歩くと2分遅刻します。
また、分速90mで歩くと2分前に学校につくことができます。
家から学校までの道のりは何mですか。

【解】
2分遅刻するということは
道のりにすると
 70×2=140
つまり学校まで140m足りないということになる。

2分前に学校に着くということは
 90×2=180
180m余分に進むことができるということ。

ここで道のり全体の差は
140+180=320

よって歩いた時間は
320÷(90-70)=16分
 
求める学校までの道のりは
 70×(16+2)=1260m ←遅刻する時間の足し忘れ注意
 

過不足算【部屋割】

【問1】
修学旅行で生徒を1部屋あたり5人ずつにすると
3人あまり、6人ずつにすると4人の部屋が1室でき3部屋あまります。
このとき生徒の数を求めなさい。

【解】
全ての部屋に6人ずつ生徒を入れるには
    6-4+6×3=20 ←4人部屋に入る人数と3部屋に入れる人数
あと20人必要ということなので
20人不足していることになる。

ここで全体の差は(5人ずつ入れた時と6人ずつ入れた時の人数の差)
   3+20=23

これより部屋の数は
    23÷(6-5)=23(部屋) ←全体の人数の差÷1部屋の人数の差

よって生徒の数は
    5×23+3=118人


【問2】
ある集会で、長イス1脚につき4人ずつ座らせると7人座ることができません。
そこで6人ずつ座らせると、1脚が3人がけとなり3脚あまりました。
集会に来ているのは何人ですか。

【解】
全ての長イスに6人座らせようとすると
   6-3+6×3=21  ←3人だけ座っているイスに座れる人数と、余った3脚のイスに座れる人数
つまり21人不足していると考えられる。

4人ずつ座らせると7人余るので
全体の差を考えると
7+21=28

これより長イスの数は
28÷(6-4)=14    ←全体の差÷1脚あたりの差

よって集会に来ている人の人数は
4×14+7=63人
 

差集め算【配布問題】

【問1】
画用紙を生徒に配布します。
1人に6枚ずつ配ると20枚不足します。
そこで1人に3枚ずつ配布したところ7枚あまりました。
このとき、生徒は何人いますか。

【解】
1人あたりの枚数の差は 
 6-3=3枚
6枚ずつ配ったときと3枚ずつ配ったときの枚数の差は
 20+7=27枚
よって
27÷3=9人 ←人数=全体の差÷1人あたりの差


【問2】
リンゴを何人かの子供に配ります。5個ずつ配ると8個あまり
8個ずつ配ると4個足りません。
リンゴは全部で何個ありますか。

【解】
リンゴ全体の差は
 8+4=12
1人あたりのリンゴの個数の差は
 8-5=3
よって子供の数は
 12÷3=4人
リンゴの個数を求めたいので
 5×4+8=28個 ←8×4-4と求めてもよい






差集め算(過不足算)プロローグ

1個100円の飴と1個80円のガムがあります。
 
まず手始めに

① 飴1個とガム1個を買ったときの代金の差はいくら?
  100-80=20円 


少し応用。

②飴とガムを2個ずつ 買ったときの代金の差は?
 1個ずつ買ったときの代金の差が20円なので
   20×2=40円  ←100×2-80×2=40という計算でも求められるが
                     差集め算の考え方を身につけるためには、差を使った計算に慣れる必要がある。


 
さらに応用。

③飴とガムを同じ個数ずつ買ったとき、合計の代金の差が120円になりました。
 飴とガムを何個買ったでしょう。

全体の差を1個の差で割れば個数を求められる。
 
   120÷20=6個

1つあたりの差と全体の差の関係がつかめれば
差集め算は理解しやすくなる。

ここで注意しておくのは
個数がそろっていないとこの考え方は使えないということ。
つまり個数が異なるときは
個数をそろえて考えていくということがポイントになる。
 

旅人算【プロローグ】

旅人算とは
追いこすとき、出会うときにかかる時間などを求める速さの問題のこと。

パターンは2しかない。

①追いこし(追いぬき、追いつく)
②出会い (すれちがい)


*問題によって聞かれ方が異なるが
 注目するのは進行方向だけ。
 進行方向が同じ場合は①で、逆の場合は②となる。
 なので『追いこし』も『追いつく』も計算方法は同じで
 『出会い』と『すれちがい』も同じ計算方法になる。


旅人算というと難しく感じるかもしれないが
速さの問題なので
速さの3公式に沿って考えていくことが基本。

①追いこしの問題
追いつく時間=距離の差÷速さの差
                              
②出会いの問題
出会う時間=距離の差÷速さの和
*距離の差を簡単にいえば
 スタートするときに、2人はどれだけ離れているの?
 とうことです。

【追いこしの問題】
兄が分速75mで180m先を分速65mで歩いている弟を追いかけます。
兄が弟に追いつくのは何分後ですか。

【解】
距離の差は180m。

追いつく問題なので速さの差を求める。
 75-65=10 ←分速とは1分間に進む距離のことなので
              速さの差は、1分間に縮まる距離を表している。


よって追いつく時間は
 180÷10=18(分後) ←180÷(75-65)とすれば式は一本でよい


【出会いの問題】
家から1400m先にある駅に弟が分速65mで兄をむかえに行きます。
兄は分速75mで家に向かって歩いています。
2人が出会うのは何分後ですか。

【解】
距離の差は1400m

出会いの問題なので速さの和を求める。
65+75=140 ←速さの和で、1分間に近づく距離が求められる。

よって出会う時間は
1400÷140=10(分後) ←1400÷(75+65)とすれば式は一本でよい

速さの単位換算

【問】
時速30kmは分速何mになるか

【解】
1時間に30km進むのは、1分間に何m進むか
ということなので
まずkmをmになおす。

30km=30000m←3000mとしてしまう間違えが多発するところ。要注意!

1時間に30000m進むということだから
1分間では
 30000÷60=500
よって
 時速30km=分速500m

道のりの単位をなおしてから60で割るほうが
計算が楽です。

分速を秒速になおすのも考え方は同じです。
【問】
分速120mは秒速何mになるか

【解】
時速のときと違い、今回は道のりの単位が同じなので
道のりの単位をなおす必要はありません
なので
120÷60=2
よって
分速120m=秒速2m
 
 分速を時速になおすときは、逆の計算をすれば求められます。
【問】
分速150mは時速何kmになるか

【解】
時速を分速になおしたときの逆の計算をすればいいので
まず60をかける。
150m×60=9000m
次に9000 mをkmになおせばよい。
9000m=9km
よって
分速150m=時速9km

分速を時速になおすときは
60をかけた後に、道のりの単位をなおす
計算が楽です。
(秒速を分速になおすときも全く同じ計算方法で求める)